2011/06/22

かむながらへの旅 第5夜『そしてシンクロがおきた』

2003年の暮れ、圧倒的歌唱力を持つひとりの女性アーティストがデビューした。
その方のデビュー曲が『Jupiter』だった。

えええええええ・・・・・。

来月はトークイベントを控えているというのに、正直に申します・・・・
わたくしこの時、「や、やられた・・・」と思いました。。。(^^ヾ
クラシックの曲をポップアレンジでやるというのは、これまでにもいくつかヒット曲がありますよね。
でも、あのとき『木星』はまだ、誰もやってる様子がなかったのでチャンスだと思ってたのです。
あんな名曲がまだ手付かず。新種と思われるイキモノがあの洞窟に棲んでいる、自分だけがそのことに気付いている、みたいな快感でした。(笑)
それを先にやられてしもた。。。(-_-;

失意の中、もうジュピターのことは知らん(うそ:笑)、と諦めてましたが、ちょうど同じ頃、最初の転機が訪れました。

当初の『JUPITER-水と光の奇跡-』は、イントロに「れいよ~ れいよ~」というコーラスがついていました。そうです、あの『神々の時間』のイントロは、TINGARAの『JUPITER』のために創ったイントロをそのまま生かしたものだったのでした。

『神々の時間』を収録したTINGARA5作目のアルバム『うなさか』は、龍村仁監督が撮影中だった『地球交響曲 第五番』を意識していました。西表島の石垣昭子さんが出演されるということから、TINGARAもデモ曲を何曲か龍村監督にお届けしていました。
ある日、監督の編集室で最後のシーンを見せていただいたひでおさんは、その帰りに私に電話をくれ、「つぐみ!あのボツったジュピターのイントロあっただろ。あれ活かして曲創れ!あれ、エンディングに合うよ!急げ!」と指示してきたのでした。(笑)
よっしゃ~♪はりきりますはりきります・・・。
ほんの数日で仕上げて映画の本編集に間に合ったあの曲は、見事『地球交響曲 第五番』のエンディングに使っていただけることになったのでした。

あの時の『JUPITER』は無駄にならなかったどころか、重要なマイルストーンとなったのでした


第1夜に書きました、『神々の時間』のイメージ。

1日の中で最も静かな、漆黒の蒼の時。
深夜の孤高の時間。神に近づき、神聖の際(きわ)を求める。

それはTINGARAの5作目のアルバム『うなさか』の目指すところそのものでした。

映画『地球交響曲第五番』のBGMとしてできるだけ多くの曲を使っていただきたい。そんな想いもあって、インスト曲も多く含み、私個人の代表曲(と温めていた)『光さんさん』も収録することができたのでした。

3枚で終わろうと話していたTINGARAは、第2ステージに進んでいました。

・・・でもホントはね、『地球交響曲第五番』のエンディングを目指して、最初に創ったのは2曲目に収録した『海界』でした。
だからあの曲は7分に渡る長編になったんですが、それは最後のスタッフロールをイメージしていたからでした。
スタッフロール(クレジット)を、私はとても大切なものと捉えていました。間違いがあってはならない。抜けていてもならない。過剰でもならない。それは私自身がかつて、優れたアーティストの方たちに憧れて音楽の道に進もうとしたとき、誰が何を創ったのか、この世界観は誰の描いたものなのか、その人の生きざまさえ探りたい、そんな気持ちで技を磨こうとしていたからでした。
その最高のものはいったい何なんだ・・・それが知りたい。

そう、ほんとは『海界』から目指そうとしていたんです。その際(きわ)を。

だけど、それはもう別領域にきていた。
『地球交響曲 第五番』の舞台が西表島であり、石垣昭子さんが出演されることを意識して、琉球の古語を散りばめた『海界』をプレゼンしていたのだけど、沖縄的キーワードはまったく含まない『神々の時間』が採用されたのですから。

・・・しかも、『神々の時間』には、、つぐ語を散りばめていた・・・・・(爆)


ご、ごめんなさい、白川静先生っ
私も文字、じゃなくてへんな言葉創って、神聖を極めようとしてました・・・。
だって、ないんだもん。これっていう言葉が。みんな多種多様な人生を送ってるし。
言葉も文字も、現代では人ひとりひとり、環境や心情の元で違うじゃん。
なんっていったらいいにょ?あれを・・・。


苦しゅうない。進みたまえ。

もしCD『うなさか』をお持ちでしたら、ブックレットの1ページ目を開いてみて下さい。
『海界』の歌詞の下には、月ヶ浜の幻想的な夕焼け。

この神聖な瞬間は二度と訪れない。

写真を撮ってくださったのは芝田満之さんでした。

初めて観た時から、共感と興奮を覚えていた映画『地球交響曲』。第五番はまるでその集大成のように、2003年の夏にかつての出演者の方々が多数来日された奇遇により、撮影が実現したのだそうです。
そのエンディングシーンは、西表島の聖地と呼ばれるトゥドゥマリぬ浜(月ヶ浜)の黄昏時に、八重山舞踊の継承者である新城知子さんが舞うという幻想的なシーンなのですが、実は当時、新城さんは病による半身不随の身であり、友人である出演者、石垣昭子さんの手織りの織物を纒い、不安ながらもその状況に身をまかせトゥドゥマリぬ浜に立ったところ、これまできれいに上がらなかった左手が上がり、無我夢中で踊ったのだそうです。


そんな奇跡的な『地球交響曲第五番』に携われたありがたさもあり、『神々の時間』は現在でもTINGARAにとっての大歌(うふうた)、代表曲になったと自負しております。

『JUPITER』をやり損ねたという心残りも、吉元由美さんが詞を書かれた平原綾香さんの『JUPITER』のあまりの大ヒットに、同じ時にこの曲にピンと来ていた、私の勘は間違っていなかった、という勇気に繋がっていました。

のちにわかったのですが、岩谷時子さんの詞で本田美奈子さんが歌った『JUPITER』もこの2003年にリリースされたのだとか。

なんなんだーこのシンクロはっ!(笑)


第5夜で完結できるつもりだったのですが、、まだまだ続きます。(^^ヾ


                                 つづく・・・